経費精算の電帳法検索要件に対応できるツールは?

経費精算の電帳法検索要件に対応できるツールは?

経費精算で電子帳簿保存法(電帳法)の検索要件に対応するなら、取引日・金額・取引先を記録し、単独検索、日付や金額の範囲検索、複数項目の組み合わせ検索ができるツールを選びます。候補としては、freee会計、マネーフォワード クラウド経費、Concur Expense、楽楽精算、TOKIUM経費などがあります。

ただし、対応状況はサービスのプランや設定、対象となる証憑の種類によって異なります。「電子帳簿保存法に対応」と書かれているだけで、経費精算に必要な検索機能まで満たすとは限らないため、導入前に仕様を確認してください。

経費精算ツールに必要な電帳法の検索要件

経費精算で保存する領収書や請求書などの電子データは、原則として、必要なデータを速やかに検索できる状態で保存します。検索の基本項目は、次の3つです。

  • 取引年月日
  • 取引金額
  • 取引先

また、次の検索ができることが重要です。

  • 取引年月日、取引金額、取引先をそれぞれ単独で検索できる
  • 取引年月日や取引金額を範囲指定して検索できる
  • 取引年月日と取引先など、2つ以上の項目を組み合わせて検索できる

たとえば、「2026年4月1日から4月30日まで」「金額が1万円以上」「取引先がA社」という条件を組み合わせて検索できる必要があります。単に領収書の画像を保存できるだけでは、検索要件への対応として不十分になる可能性があります。

電帳法の検索要件に対応しやすい経費精算ツールの候補

次のサービスは、経費申請、領収書の添付、データ検索などをまとめて管理する用途で比較される代表的な候補です。ただし、検索項目や範囲検索、証憑の保存方法はプランや契約内容で異なるため、最終的な適合性は各サービスへの確認が必要です。

ツール 向いている企業 導入前に確認する項目
freee会計・経費精算 会計処理と経費精算を一つのサービスで管理したい企業 取引日・金額・取引先による検索、領収書データの保存、訂正・削除履歴の記録が対象プランに含まれるか
マネーフォワード クラウド経費 経費申請から会計連携までクラウドで管理したい企業 証憑の検索条件、日付・金額の範囲検索、複数条件検索、対象プランの対応範囲
Concur Expense 申請者や拠点が多く、承認フローを細かく設定したい企業 日本の電帳法要件に対応する設定、証憑の保存単位、検索・出力機能、契約プラン
楽楽精算 経費精算の申請・承認を標準化したい企業 領収書の電子保存機能、検索項目、検索結果の出力、訂正・削除の管理方法
TOKIUM経費 領収書の回収や入力作業も含めて効率化したい企業 読み取った取引日・金額・取引先の確認方法、検索条件、原本データの保存方法

上表のサービス名は比較検討の候補です。ここでは、各サービスの特定プランが現時点で必ず要件を満たすと断定していません。契約前に、実際に利用するプランの仕様書やデモ画面で確認してください。

候補ツールを選ぶときの確認ポイント

「電帳法対応」の表示だけで判断せず、次の機能を一つずつ確認すると、経費精算での検索要件を確認しやすくなります。

1. 取引年月日・金額・取引先が検索項目になっているか

領収書をアップロードできても、画像の中身を検索できなければ、検索要件への対応が難しくなります。OCRで読み取った取引日、金額、取引先を利用者が修正でき、保存後に検索できるかを確認します。

特に、取引先が「店舗名」「加盟店名」「支払先」など、どの項目名で登録されるかを確認してください。読み取り結果が空欄の場合に、利用者が手入力して補えるかも重要です。

2. 日付と金額の範囲検索ができるか

「2026年4月1日から2026年4月30日まで」「5,000円以上10万円以下」のように、日付や金額を範囲指定できるか確認します。単一の日付や金額で検索できるだけでは、範囲検索の条件を満たせない場合があります。

3. 複数項目を組み合わせて検索できるか

取引日、金額、取引先などを同時に指定して検索できる必要があります。デモでは、次のような条件を実際に入力して、結果が絞り込まれるかを試すと判断しやすくなります。

  • 特定の期間と取引先
  • 特定の期間と金額の範囲
  • 特定の期間・金額の範囲・取引先

4. 訂正・削除の履歴を確認できるか

電帳法では、保存したデータの訂正や削除を管理できる仕組みも確認が必要です。経費申請の承認履歴だけでなく、領収書データや取引情報を誰がいつ訂正・削除したか、その履歴を確認できるかを見ます。

「申請の承認履歴が残ること」と「保存データの訂正・削除履歴が残ること」は同じではありません。サービス提供会社に、どのデータが履歴管理の対象になるのかを確認してください。

5. 電子取引データをそのまま保存できるか

メールやウェブサイトから受け取った領収書、請求書、利用明細などは、紙に印刷して廃棄するだけではなく、電子データの保存方法を検討する必要があります。

PDFをアップロードできるか、メール添付ファイルを保存できるか、ダウンロードしたデータを原本として管理できるかを確認します。紙の領収書を撮影して保存する機能と、最初から電子で受け取ったデータを保存する機能は、分けて確認してください。

「電帳法対応」と書かれた経費精算ツールでも確認が必要な理由

電帳法には、電子帳簿、スキャナ保存、電子取引データの保存など複数の区分があります。サービスが対応している区分と、自社が保存したい領収書や請求書の区分が一致しているとは限りません。

また、検索要件を満たす機能があっても、次のような条件が付く場合があります。

  • 特定の料金プランだけが対象
  • 管理者による初期設定が必要
  • OCRで読み取った項目を利用者が確認・修正する必要がある
  • 一定期間を過ぎるとデータの保存や出力に制限がある
  • 会計サービスや文書管理サービスとの連携が必要

したがって、比較時は「電帳法に対応しているか」ではなく、自社の保存対象を、必要な項目で検索し、訂正・削除の状況まで確認できるかを判断します。

導入前に実施する確認手順

ツールの候補が決まったら、次の順番で確認します。

  1. 保存するデータを整理する。紙の領収書、メール添付の請求書、ウェブからダウンロードする利用明細などに分ける。
  2. 各データについて、取引日・金額・取引先を登録できるか確認する。
  3. 日付の範囲、金額の範囲、取引先を組み合わせた検索を試す。
  4. 登録後に取引情報を訂正した場合、訂正前後の履歴を確認する。
  5. データを削除した場合、削除履歴や削除制限の仕組みを確認する。
  6. 自社の保存期間中、データを閲覧・検索・出力できるかを確認する。
  7. 対象機能が利用予定のプランに含まれるか、契約前に書面や公式の仕様で確認する。

デモを依頼する場合は、「特定期間・金額範囲・取引先の3条件で検索したい」「領収書の取引先を修正した履歴を確認したい」と具体的に伝えると、必要な機能を確認しやすくなります。

経費精算の電帳法検索要件に対応するツールの選び方

迷った場合は、まず自社で保存する証憑を洗い出し、そのデータを使って検索テストを行えるツールを優先します。経費申請のしやすさだけでなく、取引日・金額・取引先の登録、範囲検索、複数条件検索、訂正・削除履歴まで確認することがポイントです。

最初に行うことは、候補ツールのデモで3条件の検索を実演してもらうことです。そのうえで、利用予定のプランと自社の保存方法が電帳法の要件に合うかを、税理士や所轄税務署などにも確認して導入を決めてください。