Concur Verifyの不正検知の仕組みと、どこまで見えるか?

Concur Verifyの不正検知の仕組みと、どこまで見えるか?

Concur Verifyの不正検知は、経費精算で提出されたデータや領収書を分析し、不自然な申請や重複、規程違反の可能性を見つける仕組みです。ただし、Concur Verifyが従業員のスマートフォンやパソコンを自由に監視し、提出していない個人情報まで見られるという意味ではありません。

どこまで見えるかは、会社が利用しているSAP Concurの機能、法人カードや会計システムとの連携、社内の経費規程、管理者が設定した確認項目によって変わります。

Concur Verifyの不正検知の仕組み

Concur Verifyは、経費精算に含まれる複数の情報を照合し、通常の申請と異なるパターンや確認が必要な申請を抽出します。自動的に不正と断定するというより、監査担当者が詳しく確認する候補を見つける仕組みと考えると分かりやすいでしょう。

申請内容と領収書を照合する

申請金額、利用日、店舗名、費目、通貨などの申請データと、アップロードされた領収書の記載内容を照合します。領収書の画像から文字を読み取るOCR(画像内の文字をデータ化する技術)が使われる場合もあります。

たとえば、申請金額と領収書の金額が一致しない、利用日と領収書の日付が合わない、領収書に必要な情報が不足しているといった場合は、確認対象になる可能性があります。

過去の申請や他の申請と重複を確認する

同じ領収書や似た内容が、過去または別の経費申請に使われていないかを確認します。金額、日付、店舗名、領収書画像などを組み合わせて、重複申請の可能性を調べる場合があります。

同じ領収書を誤って再提出したケースも検知対象になり得ますが、重複と判定された時点で不正が確定するわけではありません。立替払いと法人カード払いが同じ取引を示しているなど、正当な理由がある場合は個別の確認が必要です。

社内規程に合っているかを確認する

会社が設定した経費規程と申請内容を照らし合わせ、上限額、対象となる費目、承認経路、必要な証憑などの条件に合っているかを確認します。

たとえば、交際費の参加者情報が不足している、出張規程の上限を超えている、休日や対象外の費目として申請されているといったケースです。どの項目を確認するかは、会社の設定によって異なります。

不自然な傾向や例外を分析する

単独の申請内容だけでなく、申請者、部署、金額、利用先、申請頻度などの傾向から、通常と異なるパターンを抽出することがあります。

たとえば、特定の店舗への申請が急に増えた、同じ金額の申請が繰り返されている、通常の利用パターンから大きく外れているといった場合です。これは不正の断定ではなく、追加確認が必要かどうかを判断するための材料です。

Concur Verifyで見える可能性がある情報

基本的に確認対象となるのは、経費精算のためにConcurへ登録された情報と、会社が連携している業務システムの情報です。代表的には次のような項目が考えられます。

情報の種類 確認される可能性がある内容
経費申請データ 金額、日付、費目、利用先、通貨、コメント、参加者など
領収書・証憑 画像やPDF、記載された金額、日付、店舗名、税額など
申請履歴 過去の申請、同じ領収書や似た取引との重複など
承認情報 承認者、承認状況、差し戻しや修正の履歴など
法人カード情報 会社が連携している場合のカード利用日、金額、加盟店など
会計・人事などの連携情報 会社が連携を設定している範囲の部門、従業員、勘定科目など

上のすべてが必ず見えるわけではありません。実際に利用できる情報は、契約しているサービス、会社の連携設定、権限、データの登録状況によって異なります。

Concur Verifyからは通常見えない情報

Concur Verifyに経費情報を送っただけで、個人のスマートフォンやパソコンの中身を自由に見られるわけではありません。一般に、経費精算の登録や会社のシステム連携に含まれていない情報は、Concur Verifyの分析対象にはなりません。

  • 提出していない個人的な領収書や写真
  • スマートフォン内の他のアプリの内容
  • 個人のメールやメッセージの本文
  • ブラウザーの閲覧履歴
  • 提出した経費と関係のないファイル
  • 会社のシステムと連携していない個人口座の取引

ただし、会社が別の端末管理ツール、位置情報機能、法人カード、予約システムなどを導入している場合は、Concur Verifyとは別の仕組みで情報が取得される可能性があります。どの情報を会社が取得しているかは、Concur Verifyだけでなく、社内のプライバシー通知や各システムの利用説明も確認する必要があります。

位置情報や移動履歴まで見えるのか

Concur Verifyを使っているだけで、常に現在地や移動履歴まで見えるとは限りません。位置情報が確認されるかどうかは、利用しているアプリの機能、位置情報の取得設定、出張予約や経費システムとの連携、会社の運用によって決まります。

経費申請に出張先や利用先を入力している場合、その情報は申請データとして確認できます。しかし、それはスマートフォンのGPSから常時位置を取得していることとは別です。

位置情報の扱いを確認したい場合は、次の資料を確認します。

  • 会社の経費精算に関するプライバシー通知
  • SAP Concurアプリの端末権限設定
  • 法人カードや出張予約サービスの連携説明
  • 会社が導入している端末管理・勤怠・安全管理システムの説明

不正と判定されたら自動的に処分されるのか

検知結果だけで不正が確定したり、直ちに処分されたりするとは限りません。自動検知は、申請の差し戻し、追加資料の依頼、監査担当者による確認などを行うためのきっかけとして使われるのが一般的です。

たとえば、次のような正当な事情でも確認対象になることがあります。

  • 同じ店舗で同日に複数の会食を行った
  • 会社の法人カード利用と立替申請のデータが重なった
  • 領収書の再発行により、過去の画像と似ている
  • 海外利用で日付や通貨の表示が通常と異なる
  • 会社の規程変更前後で申請条件が異なる

そのため、検知された場合は、利用目的、参加者、支払方法、領収書の事情などを説明できる資料を提出し、会社の確認手続きに従います。

自分の会社で「どこまで見えるか」を確認する方法

一般的な機能説明だけでは、会社の設定までは分かりません。次の順番で確認すると、対象範囲を具体的に把握しやすくなります。

  1. Concurで自分が入力・アップロードしている項目を確認する。金額、日付、利用先、領収書、コメントなどを一覧にします。
  2. 法人カード、出張予約、会計、人事、勤怠などの連携先を社内の案内で確認する。
  3. Concurのアプリに付与している端末権限を確認する。特にカメラ、写真、位置情報へのアクセスを確認します。
  4. 経費規程とプライバシー通知で、監査対象、利用目的、保存期間、閲覧できる担当者を確認する。
  5. 不明な点は、経理・コンプライアンス・情報システムの担当窓口に「どのデータを、何の目的で、誰が閲覧できるか」と具体的に質問する。

確認するときは、「Concur Verifyは何を見ますか」とだけ尋ねるよりも、「GPSの常時取得はありますか」「個人の写真フォルダー全体を取得しますか」「法人カードの利用明細はどの担当者が見られますか」のように、対象を分けて聞くと回答が明確になります。

Concur Verifyの不正検知についての結論

Concur Verifyの不正検知は、経費申請、領収書、申請履歴、法人カードなど、会社がConcurに登録・連携した情報を照合して、不自然な申請を見つける仕組みです。

一方で、提出していない個人データや端末の中身まで自動的に見えるわけではありません。位置情報やカード明細などの範囲は会社ごとの設定で変わるため、最初に社内のプライバシー通知、連携サービス、アプリ権限を確認することが確実です。