SAP Concur AI監査 Verifyを導入すると何が変わる?

SAP Concur AI監査 Verifyを導入すると何が変わる?

SAP ConcurのAI監査「Verify」を導入すると、経費精算の監査を人が一件ずつ確認する運用から、AIが経費データを確認し、問題の可能性がある申請を人が重点的に調べる運用へ変えられます。ただし、検知する項目や確認のタイミング、担当者への通知方法は、契約内容や社内の設定によって異なります。

SAP Concur AI監査 Verifyを導入すると変わること

大きく変わるのは、申請者が入力する操作よりも、経費申請後の監査・確認業務です。AIが経費データや領収書などを確認し、社内規程に合わない可能性がある申請を抽出するため、監査担当者はすべての申請を同じ細かさで見る必要がなくなります。

項目 導入前の運用例 Verify導入後の運用例
監査の進め方 担当者が申請を順番に確認する AIが確認し、注意が必要な申請を優先して調べる
確認対象 金額、勘定科目、領収書などを人が確認する 設定したルールや過去の傾向などをもとに、異常の可能性を確認する
担当者の仕事 問題のない申請も含めて広く確認する AIが示した理由を確認し、差し戻しや承認などを判断する
申請者への影響 監査担当者から個別に修正依頼を受ける 申請内容に問題がある場合、従来とは異なるタイミングや方法で確認・修正を求められる可能性がある

つまり、Verifyは人の判断をすべて置き換えるものではなく、確認が必要な申請を見つける作業をAIで支援する仕組みと考えると分かりやすいでしょう。

監査担当者の業務は「全件確認」から「例外確認」へ変わる

導入後は、監査担当者が問題のない申請まで同じように確認するのではなく、AIが示したリスクや不一致の内容を確認する業務が中心になります。

たとえば、次のような確認対象が考えられます。

  • 社内規程で定めた金額や利用条件に合っているか
  • 領収書の内容と申請データに不一致がないか
  • 同じ領収書や似た内容が重複して申請されていないか
  • 日付、金額、利用先などに不自然な点がないか
  • 経費の種類や申請先が社内ルールと合っているか

ただし、Verifyがどの項目を確認できるか、どのルールを適用できるかは、利用する機能や設定によって変わります。導入前には、対象にしたい監査項目が契約するサービス範囲に含まれるかを確認する必要があります。

経費の不備を早く見つけやすくなる

AI監査を導入すると、入力ミスや規程違反の可能性がある申請を、承認や支払いの前に見つけやすくなります。修正が必要な申請を早い段階で差し戻せれば、支払い後に訂正を依頼したり、後から不備を調査したりする負担を減らせます。

ただし、AIが指摘した内容が直ちに不正や違反を意味するわけではありません。出張先や職務上の例外など、正当な理由がある申請も含まれるため、最終的には社内ルールと申請の事情を人が確認します。

監査の基準をそろえやすくなる

人だけで監査すると、担当者によって確認の細かさや判断の順番が変わることがあります。AI監査では、あらかじめ設定したルールや確認条件を使って申請を確認するため、監査の観点をそろえやすくなります。

一方で、社内規程が古いままだったり、例外ルールが整理されていなかったりすると、AIが適切に判定できない可能性があります。Verifyの導入は、システムを追加するだけでなく、次のような社内ルールの整理も必要です。

  • どの経費を認めるか
  • 金額や利用回数にどの制限を設けるか
  • 例外を誰が承認するか
  • AIが注意を示した申請を誰が確認するか
  • 不備があった場合に差し戻すか、追加資料を求めるか

申請者の入力や修正の流れも変わる可能性がある

Verifyの導入によって、申請者が行う基本的な経費申請の操作が大きく変わらない場合でも、監査で問題が見つかった後の対応は変わる可能性があります。

たとえば、申請後に次のような対応を求められることがあります。

  • 領収書や利用目的の追加説明を提出する
  • 金額や経費項目を修正する
  • 規程に対する例外理由を入力する
  • 上長や経理担当者の確認を受ける
  • 重複している申請を取り下げる

そのため、導入時には監査担当者だけでなく、一般の申請者にも「どのような場合に修正を求められるのか」を説明しておくことが重要です。

導入しても人による確認がなくなるわけではない

Verifyを導入したからといって、監査担当者が不要になるとは限りません。AIは申請データから注意すべき可能性を示す仕組みであり、申請が正しいか、例外として認めるか、追加確認が必要かを最終的に判断する業務は残ります。

特に、次のような判断は人の確認が必要になりやすい部分です。

  • 業務上必要な例外支出かどうか
  • 領収書がない理由が妥当かどうか
  • 取引先との接待などで社内規程上の例外に該当するか
  • AIの指摘が誤検知ではないか
  • 不備が見つかった申請を承認するか差し戻すか

期待できるのは監査業務の消失ではなく、確認作業の重点化です。監査担当者は、単純な確認に使っていた時間を、例外判断や規程の見直し、再発防止に振り向けやすくなります。

導入効果は社内の条件によって変わる

Verifyの効果は、経費申請の件数だけでなく、現在の監査方法や社内ルールの整備状況によって変わります。導入前に、次の項目を確認すると判断しやすくなります。

確認項目 確認する内容
申請件数 月や年度にどの程度の申請を監査しているか
現在の監査時間 全件確認に何人・何時間かかっているか
不備の種類 重複、金額超過、領収書不備など、何が多いか
社内規程 システムで判定できる形にルールが整理されているか
例外処理 例外を誰が、どの資料で判断するか決まっているか
対応体制 AIが注意を示した申請を確認する担当者と期限が決まっているか

申請件数が少なく、現在の監査も短時間で完了している場合は、導入効果が費用に見合うかを慎重に検討する必要があります。反対に、申請件数が多い、監査が担当者の経験に依存している、不備の見落としや事後確認が課題になっている場合は、導入目的を設定しやすいでしょう。

導入前に確認したい注意点

Verifyを検討するときは、「AIが何を判定するか」だけでなく、判定後の業務まで確認することが大切です。

  1. 監査対象にする経費や申請範囲を決める
  2. 検知したい不備や規程違反を整理する
  3. 現在の経費規程を確認し、例外ルールを整理する
  4. AIの指摘を誰が確認するか決める
  5. 差し戻し、修正、承認の流れを決める
  6. 試験運用で誤検知や見落としの有無を確認する
  7. 導入後に監査時間や不備件数を比較する

特に重要なのは、導入前に「監査時間を減らしたい」「不備の見落としを減らしたい」「監査基準を統一したい」など、目的を具体化することです。目的が曖昧なままだと、AIが注意を示した件数だけを見て、導入効果を判断してしまうおそれがあります。

結論:Verifyは経費監査をAIによる事前確認と人の例外判断に分ける

SAP Concur AI監査 Verifyを導入すると、経費申請を人が一件ずつ確認する運用から、AIが不備や異常の可能性を抽出し、人が必要な申請を詳しく確認する運用へ変わります。

期待できる変化は、監査業務の効率化、確認基準の統一、不備の早期発見です。一方で、AIの指摘を確認する担当者や、例外を判断するルールは残ります。

導入を判断するときは、まず現在の監査にかかる時間、不備の種類、社内規程、例外処理を整理し、Verifyで対象にできる範囲と自社の運用が合うかを確認してください。