Concur Expenseは、ERPなどの会計システムと連携できます。ただし、連携方法や連携できる項目、追加開発の有無は、接続する会計システム、契約内容、社内の経理処理によって異なります。すべてのERPと標準機能だけで接続できるとは限りません。
Concur Expenseと会計システムの主な連携方法
連携には、API、連携サービス、ファイル連携などの方法があります。どの方法を使うかは、会計システムの対応機能と自社の運用によって決まります。
| 連携方法 | 概要 | 向いているケース |
|---|---|---|
| API連携 | システム同士を接続し、データを自動で送受信する方法 | 申請・承認済みデータを継続的に自動連携したい場合 |
| 連携サービス・コネクター | Concur Expenseと特定の会計システムの間をつなぐ仕組み | 自社開発の負担を抑えて連携したい場合 |
| ファイル連携 | 経費データを所定の形式で出力し、会計システムに取り込む方法 | 会計システムがCSVなどの取込機能に対応している場合 |
| 個別開発 | 自社の勘定科目や承認フローに合わせて連携処理を開発する方法 | 標準連携だけでは要件を満たせない場合 |
連携方式は、リアルタイム連携か定期連携か、会計システム側で受け付けられるデータ形式は何かによっても変わります。導入前に、候補となる方式をベンダーや導入パートナーへ確認する必要があります。
連携できる主なデータ
一般的には、承認済みの経費精算データを会計仕訳に使える形へ変換し、会計システムへ渡します。ただし、実際に連携できる項目はシステム構成や設定によって異なります。
- 経費精算の申請番号
- 申請者や従業員の情報
- 利用日、支払日、計上日
- 金額、通貨、税額
- 勘定科目
- 部門、部署、プロジェクト、原価センター
- 取引先や支払先
- 承認済みの経費明細
- 法人カードの利用データ
- 領収書などの証憑に関する情報
たとえば、Concur Expenseで承認された経費明細を会計仕訳データに変換し、ERPへ取り込む運用が考えられます。会計システムから部門コードや勘定科目などのマスターデータを受け取り、Concur Expense側の入力候補に反映する構成もあります。
ERP連携で事前に確認すること
「連携できるか」は、製品名だけでなく、連携したい業務とデータ項目を確認して判断します。次の項目を整理すると、対応可否を確認しやすくなります。
1. どの処理を連携するか
経費精算の仕訳だけを連携するのか、従業員情報、部門情報、勘定科目、支払状況まで連携するのかを決めます。片方向の連携で足りる場合と、ERPからConcur Expenseへマスターデータを返す双方向の連携が必要な場合では、構築方法が変わります。
2. 連携の起点とタイミング
申請時、承認完了時、支払処理時、月次締め時など、いつデータを渡すかを確認します。毎日まとめて連携するのか、一定の処理が終わるたびに連携するのかによって、必要な仕組みやエラー対応も異なります。
3. マスターデータの対応関係
Concur ExpenseとERPで、勘定科目コード、部門コード、税区分、通貨、従業員番号などの値が一致しているかを確認します。コードの対応表が必要な場合は、どちらを正しいマスターとして管理するかも決めておきます。
4. 会計システム側の取込条件
ERPがAPI、CSV、固定長ファイルなどのどの方式に対応しているかを確認します。必須項目、文字コード、日付形式、税区分、金額の扱いなどに条件があると、Concur Expenseから出力するデータの加工が必要になることがあります。
5. エラー発生時の処理
コード不一致や必須項目の不足で取り込みに失敗した場合、誰がどの画面でエラーを確認し、どのデータを修正して再連携するかを決めます。連携できることだけでなく、失敗時に経理担当者が復旧できることも重要です。
標準連携だけで足りない場合はどうなるか
接続先のERPや必要な業務が標準の連携対象に含まれていない場合、連携サービスやファイル変換、中間システム、個別開発などが必要になることがあります。
特に、独自の勘定科目、複雑な税計算、複数法人の締め処理、特殊な承認ルートを利用している場合は、標準設定だけで要件を満たせるとは限りません。追加費用や導入期間が発生するかどうかも、個別に見積もる必要があります。
また、「データを出力できる」ことと「ERPへ自動で仕訳登録できる」ことは同じではありません。ファイルを出力した後に担当者が確認して取り込む運用なら、完全自動連携とは異なります。
導入前に確認する手順
- 接続したいERPの製品名、製品エディション、利用環境を整理する。
- 連携対象を決める。たとえば、仕訳、従業員マスター、勘定科目、部門、支払結果などに分けて整理する。
- 各データについて、連携方向、連携タイミング、必要な項目、更新頻度を決める。
- Concur Expense側とERP側のAPI、ファイル取込、連携サービスの対応状況を確認する。
- 標準機能で対応できない項目、追加開発、導入費用、保守範囲を確認する。
- テスト環境で、正常系だけでなくコード不一致や重複登録などのエラー処理も検証する。
確認時には、「このERPと連携できますか」だけでなく、「承認済み経費を仕訳として自動登録できるか」「マスターをどちらから連携するか」「エラー時に再処理できるか」まで具体的に質問すると、導入後の認識違いを減らせます。
Concur ExpenseとERPの連携はどの企業に向いているか
経費精算後の仕訳入力や転記を減らしたい企業、複数の法人・部門で経費データを一元管理したい企業には、連携を検討する価値があります。一方、経費件数が少なく、会計システム側の取込作業も負担になっていない場合は、導入効果と連携コストを比較する必要があります。
最適な構成は、ERPの種類だけでなく、経費の件数、法人・通貨の数、承認ルール、税処理、既存のマスター管理方法によって変わります。
結論として、Concur ExpenseはERPなどの会計システムと連携できます。ただし、標準連携の対象、APIやファイルの対応状況、連携項目、追加開発の有無は環境ごとに異なるため、まずは連携したいデータと処理範囲を整理し、Concur Expenseと利用中のERPの双方で確認することが最初の手順です。







