はい。SAP Concurは、グローバルな経費精算で使われる多通貨に対応しています。出張先で現地通貨を使って支払った経費を登録し、会社の基準通貨や従業員への精算通貨に換算する運用が可能です。
ただし、対応できる通貨の種類、換算レートの取得方法、精算時の通貨、法人・国ごとの税や会計設定は、導入時の設定や契約内容によって異なります。「多通貨に対応している」ことと、「すべての国・通貨を同じ条件で自動処理できる」ことは別です。
SAP Concurの多通貨対応でできること
SAP Concurでは、経費を実際に支払った通貨で登録し、経費レポート上で会社の基準通貨に換算して管理する運用ができます。
- 海外出張先で支払った現地通貨の経費を登録する
- クレジットカード明細などに記録された外貨の取引を取り込む
- 取引通貨と会社の基準通貨を分けて管理する
- 設定された為替レートを使って金額を換算する
- 法人、国、部門などの単位で精算・会計処理を分ける
たとえば、米ドルで支払ったホテル代を、経費の取引通貨は米ドルのまま登録し、経費レポートや会計処理では日本円に換算する、といった形です。
「支払った通貨」と「精算する通貨」は分けて考える
多通貨の経費精算では、少なくとも次の3つの通貨を区別する必要があります。
| 項目 | 意味 | 例 |
|---|---|---|
| 取引通貨 | 実際に店舗やサービスへ支払った通貨 | 米ドル、ユーロ、シンガポールドルなど |
| 経費レポートの通貨 | 経費を集計・承認する際の通貨 | 日本円、米ドルなど |
| 精算通貨 | 従業員へ払い戻す際の通貨 | 従業員の給与口座に合わせた通貨など |
これらがすべて同じとは限りません。たとえば、フランスでユーロを使って支払い、海外拠点の基準通貨で集計したうえで、日本の従業員には日本円で精算する運用も考えられます。
為替レートは導入設定の確認が必要
外貨を基準通貨へ換算する場合、どの為替レートを使うかが重要です。SAP Concurで多通貨を扱えても、レートの種類や適用日は、導入環境や運用ルールによって変わります。
確認が必要なのは、主に次の項目です。
- 為替レートをどこから取得するか
- カード会社の換算レートを使うか、別のレートを使うか
- 利用日、取引日、経費精算日など、どの日付を換算基準にするか
- 手数料やカード会社による換算差額をどのように扱うか
- 小数点以下の丸め方法をどうするか
- 修正や再計算を認めるか
そのため、画面上で自動換算された金額が、銀行やカード会社の請求額と必ず一致するとは限りません。社内規程で採用するレートと、SAP Concur上で使われるレートの関係を、導入時に確認しておく必要があります。
グローバル利用で確認すべき設定
海外拠点を含む経費精算では、通貨だけでなく、法人ごとの会計・税務・支払条件も合わせて設定します。多通貨対応の可否を判断するときは、次の項目を確認してください。
| 確認項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| 利用通貨 | 各拠点や出張先で使用する通貨を登録できるか |
| 基準通貨 | 法人や会計システムごとに、集計の基準となる通貨を設定できるか |
| 精算通貨 | 従業員への払い戻し通貨をどのように決めるか |
| 為替レート | レートの取得元、適用日、丸め方法をどうするか |
| 法人・国の設定 | 国別の税、勘定科目、承認経路、支払方法を分ける必要があるか |
| 会計連携 | 換算前と換算後の金額、通貨コード、為替情報を連携できるか |
| カード連携 | カード明細の利用通貨、請求通貨、手数料をどのように取り込むか |
特に、複数の国や法人で利用する場合は、単一の設定を全拠点に適用できるとは限りません。国別の法令、税務、給与・銀行処理、会計システムの仕様を含めて設計する必要があります。
多通貨の経費精算が処理される流れ
一般的には、次のような流れで処理します。実際の画面項目や自動処理の範囲は、利用中のSAP Concur製品や設定によって異なります。
- 従業員が、実際に支払った現地通貨で経費を登録します。
- 領収書やカード明細を確認し、取引日、金額、通貨、経費の種類を入力します。
- 設定された為替レートに基づき、経費レポート上の基準通貨へ換算します。
- 必要に応じて、上長や経理担当者が換算後の金額とレートを確認します。
- 承認後、法人や従業員の設定に応じて会計連携・支払処理を行います。
手入力で登録する場合は、領収書の通貨と入力通貨が一致しているかを確認してください。カード明細を使う場合は、利用時の通貨とカード会社から請求される通貨が異なるケースにも注意が必要です。
導入前に確認したい制約
「海外の経費を登録できるか」だけでなく、「自社の経理処理まで問題なくつながるか」を確認することが大切です。
次の条件に当てはまる場合は、標準設定だけで対応できるか、追加設定や連携が必要かを導入担当者へ確認してください。
- 複数の法人がそれぞれ異なる基準通貨を使う
- 拠点ごとに異なる為替レートを使う
- カード利用時の外貨額と請求額の両方を会計へ渡したい
- 海外の付加価値税などを国別に処理したい
- 給与払いと経費払いで異なる通貨を使う
- 特定の国の銀行や会計システムへ連携したい
- 換算差額や為替手数料を別の勘定科目で管理したい
これらの仕様は、利用する製品構成、契約、導入パートナーによる設定、接続先の会計システムによって変わります。公開情報だけで自社環境の処理可否を確定できない場合は、要件一覧を作成して導入担当者に確認するのが確実です。
結論:SAP Concurは多通貨に対応しているが、設定確認が必要
SAP Concurは、海外出張などで発生する外貨の経費を登録し、基準通貨へ換算して精算・管理する多通貨運用に対応しています。
一方で、利用できる通貨、為替レートの取得方法、精算通貨、法人別の処理、会計連携の仕様は環境によって異なります。導入前には、「取引通貨」「基準通貨」「精算通貨」「為替レート」「会計連携」の5点を、自社の国・法人ごとに確認してください。







